離婚の慰謝料(2)
前回も書きましたが、離婚の慰謝料は、相手の行為によって受けた「精神的苦痛」に対する損害賠償のことです。
一般的には、たとえば、一方が浮気をしたとか、暴力をふるう(DV)などの不法行為(民法709条)があって、相手の責任が明らかであるという場合に請求することが可能になるものです。
なので、離婚するときに、どちらか一方から他方へ「必ず請求できる」といったものではありません。この点は、いま一度確認しておきましょう。
離婚の慰謝料に、いわゆる「相場」はあるのでしょうか?
なんとなく、これくらいかなあ…といったものはあるかもしれませんが、いわゆる法律で決められたものはありません。
日本の離婚事情は、ほとんど(90%以上)が、当事者同士だけの話し合いで決める「協議離婚」です。
そのときの慰謝料がいくらであったかなど、ふつうに考えて、離婚された方が公開するわけないですよね。ただ、全体から見れば、わずかな割合ですが、「裁判離婚」の事例などから、そのあたりをうかがうことはできるようです。
どう考えたって相手が支払うことができない金額を請求して、絶対その金額から一歩も譲歩しないということでは、かえって事態がこじれて、離婚の話し合いが、そこでストップしてしまうことになるでしょう。
離婚の真っただ中にいる当事者に、「冷静になって」と言う方に無理があるかもしれませんが、ここは、なんとしてでも冷静になって考えるようにしましょう。
たとえば、相手にどれくらいの財産があるのか、現実問題として、どれくらいなら請求して払ってもらえそうなのか、慰謝料の請求を考えるのであれば、このあたりのことは、きちんと調べておいた方がいいことだと思います。
あまり、いい表現ではないかもしれませんが、慰謝料の請求は、ひとつの「交渉」だというくらいの気持ちで、考えてみてはいかがでしょうか。
「交渉」だと考えれば、いろいろなことを冷静に考えて、判断をすることが必要になります。
同じような境遇であっても、その人その人で、性格も違えば、経済的な状況や家族環境などを含め、まったく同じということはあり得ません。
なにかに対して、なにをされたかによって、どの程度、どれくらい、精神的苦痛に感じるかということも、人によって異なるものでしょう。
他の人の事例は、あくまでも、参考程度にとどめて、とにかく、冷静になって、自分のケースのことを考えることが大切です。
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